後輩くんは溺愛を隠せない
「おはよう~」
「紗知、おはよう~」
「柏木先輩、おはようございます」
勤務4年目の私は、雑用などはやらなくなったけれど、それでも8時前には出勤する。
ちなみに、通常の業務は8時半からだ。
あいさつを返してきたのは、同期の北見 春奈(きたみ はるな)と、2年後輩の斉藤 胡桃(さいとう くるみ)。
他にも従業員は居るけど、デスクの近いこのふたりとは特に仲が良い。
ちなみに、他の従業員には、自分のデスクに向かいながらあいさつを済ませている。
私は自分のパソコンを付け、今日の日程を確認した。
私が担当しているお客様の予約は7件だ。
いつも、だいたいこれに新規のお客様が3、4件入る。
予約の分の資料を見直して、足りないものがないか確認した。
「紗知は今日何件だった?」
ひと段落着いたのを見計らってか、ただの偶然かーー春奈が聞いてきた。
「7件。春奈は?」
「私は今日5件。やっぱり紗知は多いね~」
そう言われるけど、春奈だって8件くらいある時もある。