後輩くんは溺愛を隠せない
「ーー黒瀬くん......がんばれ」
「紗知先輩は、こういう所には鈍感ですからね、黒瀬くん大変ですね......」
「はぁ......先は長そうだ」
分かってない私を置いて、春奈と胡桃に応援された夏樹くんは遠い目をしていた。
それからは、お酒も進みながら他愛のない話をしていた。
机の上に、次々とからのジョッキやグラスが増えていく。
みんな、飲むスピード早いーー、特に夏樹くん。
お酒は強いらしく、すでに8杯目に到達していた。
そして、私もいつもよりハイペースで飲んでいる。
4杯目のカクテルが私の前に置かれた時、私の中で収まりきらない愚痴が声に出ていた。
「もぅ......なんで私が指導係なんか......」
ちなみに、お酒は強い方ではないーー。
「うん?紗知先輩どうしたんですか?」
春奈と胡桃は別の話で盛り上がっていて、私の呟いた声に反応したのは夏樹くんだった。
ーー言うつもりはなかった......。