後輩くんは溺愛を隠せない
どうやら、フラフラで帰れなくなったことがあるらしいーー。
そこまで弱いとは......。
ちらっと顔を下げて、気持ちよさそうに寝ている紗知先輩の横顔を見る。
お酒のせいか真っ赤に染まっている顔に、横になったことで少し広がったふわふわの髪。
見つめていると、無性に触ってみたいと思ってしまった。自然と手が伸びて、気づいたら俺は紗知先輩の頭を撫でていた。
起こしてしまわないように、ゆっくりと丁寧にーー。
気持ちよさそうな紗知の顔に自然と笑みが零れる。
「ーー沙知も寝ちゃったし、今日はこの辺で終わりにしようか」
その声に、ハッと現実に戻される。
顔を上げると北見さんが、ニヤニヤと俺を見ていた。そのなんとも雰囲気に、俺は気まずくなる。
「え、でも......」
紗知先輩はーー?
当分起きなそうだけど......。
さすがに、このままにしておく訳にはいかない。
「紗知先輩は、黒瀬くんが責任をもって送って行って下さいね!」