後輩くんは溺愛を隠せない



「ーーぁりがと......」



そう言いながらも、力が入らないらしく、起き上がる気配がない。



「起こしますよ?」



とりあえず、一声かけてから、肩の所に手を入れてゆっくり起き上がらせた。


口元にコップを持っていくと、両手でコップを持ちながら、ゆっくりと水を飲み始めた。


ーー可愛すぎるんだけどっ!


こんな間近で、しかも俺が支えながらーー、ここは俺の部屋でベットの上。


抑えきれない興奮と理性を必死につなぎ止めていた。


俺が、必死で冷静で居ようとしている間に、いつの間にか飲み終えたらしいコップを渡され、俺は戻しに行こうと立ち上がった。


グイっとワイシャツの袖を引っ張られる。


ーーん?


振り向いてみると紗知先輩が袖を持っていた。



「......行かないで」


「うっ......」



潤んだ瞳で、さらに上目遣いで言われた。


酔っぱらいを襲うつもりは微塵も無いーー。


こんな事を言われて、理性を保っている俺を褒めて欲しいくらいだ。

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