後輩くんは溺愛を隠せない
「居るから大丈夫ですよ。寝てください」
これ以上は、ヤバいーー。
なのに、紗知先輩はさらに煽るような言葉を言った。
「ぎゅー......、してくれる?」
酔ってる......酔ってるよね、これ......。
「......っ!」
「してくれないの......?」
今にも泣きそうな顔で言われた。
そんな顔......っ。
小動物みたいに可愛い仕草のおねだりだ。
可愛い、好きだと叫びたい気持ちを抑えながら、別の言葉を出す。
「はぁーー、いったい、どこで覚えてきたんですか?」
叫ばないからと言って、このまま放っておくわけにはいかない。
今にも泣きそうな、悲しそうな顔をしている紗知先輩を放っておくなんて、俺には出来なかった。
俺の中で、今にも崩れそうにぐらぐらと揺れている理性をつなぎ止めながら、紗知先輩を抱き寄せた。
「はぁ......あんしん、する......」
そう言った紗知先輩は、俺の背中に腕を回してさらに密着してきた。