後輩くんは溺愛を隠せない
もう、本当に勘弁してーー。
「紗知先輩、俺にしかこういう事言っちゃダメですよ?」
俺は、腕の中に収まっている紗知先輩の耳元でそう言った。
「もう寝な?......おやすみ」
その言葉が聞こえたのか、ゆっくり目を閉じて気持ちの良さそうな寝息を立て始めた。
そんな紗知先輩を布団の中に押し込む。
そして、俺は離れようとしたのに、無意識の紗知先輩にシャツの袖を掴まれた。
「......っ!」
どうやら、離れるわけには行かないらしいーー。
紗知先輩は、俺を振り回す天才だ。
安心しきっている紗知先輩の寝顔を見ながら、そっとため息をついた。
「ここまで俺を振り回すんだから、覚悟しろよ?
絶対に、俺の事好きにさせるから......」
俺はそう言って、寝ている紗知先輩の手の甲に、そっとキスを落とした。