後輩くんは溺愛を隠せない
“甘えてくる”?
私は夏樹くんに甘えた記憶なんてない。
「な、夏樹くん、私......なんかしちゃった?」
普段の私は甘えるなんて事しない......というより、性格上ーー出来ない。
なのに、私が甘えた?
「そんな、嫌なことなんかしてないですよ!俺は嬉しかったんで!
ーー俺のシャツ掴んで上目遣いで行かないでって言ったり、ぎゅーしてって言ってきてしまいには安心するって言ったり......って、紗知先輩?どうしたんですか?」
夏樹くんは、私の記憶に無いことを次々と教えてくれた。興奮している夏樹くんは止まる気配がない。
ーー恥ずかしすぎる。
念を押すようだけれど、普段の私ならそんなことはしない。
鏡を見なくても、今の顔が真っ赤なのは私にも分かった。
きっと、耳まで赤くなっているだろう。
「紗知先輩?......顔見せてください」
赤くなった顔を見られないように俯いていたのに、覗き込まれた。
「む、無理......っ!」