後輩くんは溺愛を隠せない
こんな顔見せられるわけがない。
ぷいっと顔を背ける。
なのに、夏樹くんはそんな私を無視して、クイッと私の顎を上げた。
逆らえない動きに、私は顔を上げてしまう。
そして、私の顔を見た夏樹くんは、固まったーー。
「紗知先輩......キスしていいですか?」
「......は?」
どうしてそうなった?
真剣な真顔で言われ、言われたことを理解するのに時間のかかり、反応が遅れた。
「だ、ダメに決まってるでしょ!」
付き合ってもいない人とキスできるはずがない。
だけど、じっと見つめてくる瞳にドキドキする。
「あ、あの......」
「ん?」
「......」
耐えきれなくなって、声を出すも何を話せばいいのか分からず、声が出てこない。
「と、まぁ、冗談は置いておいて、紗知先輩!今日暇ですか?」
じょ、冗談......には聞こえなかった。
「ひ、暇だけど......」
ゆっくりしようと思っていたので、予定は無い。
「紗知先輩、デートしましょう!」