後輩くんは溺愛を隠せない
「紗知先輩、つり革掴むの大変ですよね?俺なら持ってても疲れないので大丈夫です。だからーー」
確かに、私の身長じゃ届かなくはないけれど、ずっとつり革に捕まっていると腕が疲れてしまう。
「ありがとう」
ありがたく座らせて貰おう。
そう思って座ると、私の前に夏樹くんが立つ。
やっぱり大きいなぁ。
座っている私と立っている夏樹くんとの身長差は結構ある。
見上げていると、首が痛くなりそうだ。
もちろん、私が立っていても身長差はあるのだけれど......。
「どうしたんですか?」
私が見ていたことに気づかれてしまった。
「背、高いなぁって思って」
「あぁ、俺180センチありますからね。紗知先輩は身長どれくらいなんですか?」
180センチ......それは、高いはずだよ。
「私は155センチ......」
「可愛いですね!」
「......っ!」
夏樹くんの笑顔が眩しい。
可愛いと言われたのが、身長の事だとしても嬉しくなる。