後輩くんは溺愛を隠せない
ーー嬉しい......?
無意識のうちに、ドキドキと速くなる心臓の音。
私にはこの気持ちが何なのか、まだ分からなかった。
***
ショッピングモールに着き、私は夏樹くんそっちのけで、色んな店を回っていた。
「これ可愛い~!」
「あ、でもこっちもいい!」
久しぶりのショッピングにテンションが上がってしまう。
既に5件の雑貨屋さんに入って、色々見ているけれど、まだ何も買っていない。
「紗知先輩、あの......買わないんですか?」
そう声をかけられて、夏樹くんの存在を思い出した。
「あ、夏樹くん、振り回してごめんね......」
「それはいいんですけど、俺も楽しいんで」
笑顔でそう言ってくれるなら、良かった。
「欲しいのはいくつかあったんだけど、その場で買っていたらキリがないから、一通り見てから、最後に本当に欲しいものだけを買おうと思って。
......似たようなのがいっぱいあっても使わないしね」
「なるほど......」