後輩くんは溺愛を隠せない


ーー嬉しい......?


無意識のうちに、ドキドキと速くなる心臓の音。


私にはこの気持ちが何なのか、まだ分からなかった。



***



ショッピングモールに着き、私は夏樹くんそっちのけで、色んな店を回っていた。



「これ可愛い~!」



「あ、でもこっちもいい!」



久しぶりのショッピングにテンションが上がってしまう。


既に5件の雑貨屋さんに入って、色々見ているけれど、まだ何も買っていない。



「紗知先輩、あの......買わないんですか?」



そう声をかけられて、夏樹くんの存在を思い出した。



「あ、夏樹くん、振り回してごめんね......」


「それはいいんですけど、俺も楽しいんで」


笑顔でそう言ってくれるなら、良かった。



「欲しいのはいくつかあったんだけど、その場で買っていたらキリがないから、一通り見てから、最後に本当に欲しいものだけを買おうと思って。
......似たようなのがいっぱいあっても使わないしね」


「なるほど......」


< 59 / 214 >

この作品をシェア

pagetop