後輩くんは溺愛を隠せない

「黒瀬 夏樹(くろせ なつき)です。分からないことだらけですが、よろしくお願いします」



そう笑顔で言って、頭を下げた。


その笑顔を見た、女性社員はキャーっと黄色い声を上げる。


私の横では、胡桃も声を上げていた。


そんな中、咄嗟に耳を塞いだ男性社員と春奈ーーそして私。


ただの男なら、こんな悲鳴は上がらない。


だけど彼は、誰が見てもイケメンだったのだーー。


少しキレた目に高い鼻、色白で社内規定ギリギリの茶髪は無造作にセットされている。


180センチくらいの高身長に、スラッとした体型ーーそれに、黒いスーツがビシッとキマッている。


よく見て見ると、確かにかっこいい......。


そう観察していると、支店長に名前を呼ばれた。



「柏木、黒瀬の教育係よろしくな」


「......は？」



他人事のように眺めていた私は、急に言われたので、びっくりして固まった。



「いやいやいや、無理ですって！教育係なら、春奈でもーー」


「北見は斉藤の教育係だろ？」