後輩くんは溺愛を隠せない
そうは言ったけれど、1人で来ているわけじゃないから、さすがに振り回せないよね。
「夏樹くんは、どこか見たいお店ある?」
「んー、そうですね。
俺は、楽しそうな紗知先輩が見れれば満足なので、どこでもいいですよ」
「......」
聞いた私が間違っていた?
さっき言っていた、“楽しい”は、私を見ていて楽しいって言ったの?
「そ、そうなんだ......、じゃあ、あそこのお店見てもいい?」
「もちろんです!」
夏樹くんの事はよく分からないけれど、今は気にしないでおこう。
そう思い、私はその後もショッピングを楽しんだ。
「紗知先輩、そろそろ休憩しませんか?」
夏樹くんがそう言って指を指した先には、有名な珈琲ショップがあった。
カフェも付いていて、一休みできる場所だ。
そう言えば、朝ごはんもお昼ご飯も食べていない。
それを自覚したら、お腹が空いてきた。
そう思ってしまうと、身体は逆らえない。
「ぐぅぅ......」
結構な大きさでお腹が鳴った。