後輩くんは溺愛を隠せない
聞こえた?隣にいるんだし、絶対聞こえてるよね......?
恐る恐る隣を見上げてみると、夏樹くんは笑いを堪えていた。
「っ......お腹空きましたね!」
恥ずかしすぎる!やっぱり、聞こえていたんだ。
私は赤くなった顔を隠すように、ぷいっと前をむいた。
「は、早く行こう!」
「そうですね!」
何事も無かったかのようにしたいのに、夏樹くんはまだ笑っていた。
ツボに入ってしまったらしい。
私は、そんな夏樹くんを気にしないふりをしてお店に入った。
「いらっしゃいませ~。2名様でよろしいでしょうか?」
「はい」
「こちらへどうぞ~」
ちょうどお昼の混んでる時間が終わっていたので、すぐに案内された。奥の方の角の席だ。
ほかの席との間に柱もあるので、半個室みたいな感じになっていた。
「紗知先輩、何にしますか?」
「うーん......どうしよう」
メニューに乗っているのは、どれも美味しそうで迷ってしまう。