後輩くんは溺愛を隠せない


聞こえた?隣にいるんだし、絶対聞こえてるよね......?


恐る恐る隣を見上げてみると、夏樹くんは笑いを堪えていた。



「っ......お腹空きましたね!」



恥ずかしすぎる!やっぱり、聞こえていたんだ。


私は赤くなった顔を隠すように、ぷいっと前をむいた。



「は、早く行こう!」


「そうですね!」



何事も無かったかのようにしたいのに、夏樹くんはまだ笑っていた。


ツボに入ってしまったらしい。


私は、そんな夏樹くんを気にしないふりをしてお店に入った。



「いらっしゃいませ~。2名様でよろしいでしょうか?」


「はい」


「こちらへどうぞ~」



ちょうどお昼の混んでる時間が終わっていたので、すぐに案内された。奥の方の角の席だ。


ほかの席との間に柱もあるので、半個室みたいな感じになっていた。



「紗知先輩、何にしますか?」


「うーん......どうしよう」



メニューに乗っているのは、どれも美味しそうで迷ってしまう。

< 61 / 214 >

この作品をシェア

pagetop