後輩くんは溺愛を隠せない
そのはずだったのに、暴走した夏樹くんに引っ張られて、私は何故か有名な服屋さんに入っていた。
しかも、私の好みのお店に......。
「あぁ、こっちも捨て難い!
紗知先輩、これ着てみてください!」
「......」
そう言って、私の手に押し付けられたのはワンピースやらトップスやらスカートやらーー、夏樹くんセンスでコーディネートされた服5セット。
たぶん、10着以上ある。
「店員さん、あの子の試着したいんですけどいいですか?」
しかも、着るとは一言も言っていないのに、話が進んでいる。
試着するにも、1回3着くらいずつだよね......普通は。
なのにーー。
「もちろんです。こちらへぞうぞ~!」
喜んで進められてしまった。
突っ込む間も無いまま、試着室に連れていかれる。
「さぁ、紗知先輩!着てみてください!」
ワクワクした様子で夏樹くんが言う。
目がーー、輝いているよ。
改めて、私の手にある服を見てみると、私の好みどストライクだ。