後輩くんは溺愛を隠せない
私に聞こえていると思っていないのか、絶賛する2人の声に、私は出るに出れなくなってしまった。
夏樹くんに可愛いと言われて、私の心臓の鼓動は速まっていく。
それに、店員さんが言った“彼女さん”という事を、否定しなかった夏樹くん。
ただの後輩のはずなのに、私は自分でも制御出来ないくらいドキドキしていた。
必死に落ち着かせようと、深呼吸を繰り返す。
いつの間にか、外に居る二人の会話は収まっていて、気がついたら時間が経っていた。
「紗知先輩?」
「っひゃい!」
心配になったのか、突然声をかけられた私はびっくりして飛び上がる。
「着られました?」
あ、最後のこのワンピまだ見せてなかったね。
その事を思い出し、私は恐る恐る、カーテンを開けた。
ーーハッと息を飲むような声が聞こえる。
次の瞬間、私の視界は真っ暗になっていた。
「っ......可愛い!紗知先輩は、やっぱり天使だ!」
原因は、今そう言った夏樹くんに抱きしめられていたから。