後輩くんは溺愛を隠せない
突然の事で、私はカチンと固まった。
なにせ、異性の、男の人に抱きしめられるなんて、私は慣れていない。
「あ、あ、あ、あ、あぁの......」
離して欲しいのに、緊張しまくっている私の舌は回らず、言葉にならない。
「こんなに可愛い紗知先輩、誰にも見せたくないっ!でも、着てほしい......どうしよう、この悪循環っ!!」
「分かります!分かりますよ、彼氏さん。可愛すぎて、他の人に見せたくないですよね!」
「店員さん、今試着した服全部下さい。......見せたくないけど、せっかくなので、このワンピはこのまま着ていきます」
私を置いて、どんどん話は進んでいく。
その前に、離して欲しい。
夏樹くんに、私のドキドキが伝わっていないか心配だ。
それに、恥ずかしかった。
「あ、あの、夏樹くん、お金払うから......離して」
これ以上は、私の心臓がもたない!私の願いを聞いてくれたのか、夏樹くんが離れてくれた。