後輩くんは溺愛を隠せない


必死で抵抗するも、失敗に終わった。


そうだった......、春奈は胡桃の教育係だ。


たまたま春奈の同期だったから、胡桃とも仲良くなれたのだ。



「でも、他にもーー」


「他に教育係できる人は、4月の新入社員が付いてる。空いてるのはお前だけだ、諦めろ......」



そう言われてみると、その通りで何も言い返せない。


今までは、向いてないからーーと全力で断ってきたが、それも今日までらしい。



「......分かりました......」



そう答えると、支部長は満足したように頷いた。


だけどーー他の女性社員からの視線が痛かった。


できることなら変わって欲しい......。


そう思っても、実際は担当を変わることなんてそう簡単に出来ないのだからしょうがない。



「紗知......ドンマイ!」



今まで断ってきたことを知っている春奈は、こうなることが分かっていたのか、ニヤニヤと笑いながらそう言った。



「はぁ......」



気が重い。

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