後輩くんは溺愛を隠せない
だから、任せてみることにした。
もちろん、私もチェックはするけど。
「できた資料は必ず私に見せてね」
「もちろんです!紗知先輩ありがとうございます!!」
任せてもらえたことが余程嬉しいのか、目に見えてウキウキしている。そしてーー。
「っ!?」
何故か私に抱きついてきた。
夏樹くんに抱きつかれるのは2度目だけれど、私はカチンと身体が固まる。
ビックリしすぎて、声も出ない。
「あ、すいません、つい......」
つい、じゃないよ......。
心臓止まるかと思ったんだからーー。
私が困惑していることが分かったのか、夏樹くんはすぐに離れてくれた。
「......って、紗知先輩。なんですか、その顔は!」
そう言われるのも無理はない。
夏樹くんに見られた顔は、真っ赤に染まっていた。
そして、ドキドキと速く脈打つ心臓。
「う、うるさい!見ないでよ......」
私は顔を隠すように夏樹くんに背を向けた。
「あぁ、もう......」