後輩くんは溺愛を隠せない
背後から、ため息を着くような声が聞こえる。
「また可愛い顔して、ーーさては、俺に襲われたいんですか?」
冷め切っていない顔の熱が、さらに上がった気がした。
お、お、襲うって......!
1週間ぶりのドキドキに、私の心臓はついていけない。
「な、夏樹くんのせいだからっ!」
振り向いてからそう言い捨てて、私はトイレへと逃げ込んだ。
夏樹くんといると、調子が狂う。
「ふぅー」
鏡の前で深呼吸をする。
さっきのことは忘れて、仕事しないと。
もうすぐ予約の時間だ。
「紗知先輩~?もうすぐ予約の時間だから、戻ってきて欲しいって黒瀬くんが言ってましたよ?」
顔の熱も引いて、ドキドキも収まってきた時、胡桃が呼びに来た。
「分かった、すぐ行くね」
「紗知先輩?なにかあったんですか?」
さり気なく戻ろうと思ったのに、胡桃はニヤニヤしながら、聞いてきた。
「な、何も無いから!早く戻るよ!」
「ふふっ......はぁい」