後輩くんは溺愛を隠せない


橋本様は若い女性で、今回が2回目の予約だ。


友達同士で旅行に行くらしく、泊まる場所を探していた。


若いと言っても、私より少し年上なのだけれどーー。



「あら、カッコイイ人に担当してもらえるなんて、嬉しいわ!」



紹介して、そう言われている夏樹くんを見るのはもう慣れた。


ここ1週間は、紹介する度に、このやり取りだ。


私も夏樹くんも、サラリと受け流し、本題の話を進める。


話に戻したり、続きを促したりするのは夏樹くんの方が得意だ。


と言うよりも、夏樹くんに言われたからお客様も素直に聞くというのもあるかもしれない。



「では、まずは宿泊先なのですが、このあたりはいかがでしょうか?」



サッと夏樹くんが出した資料に、私が説明を付け加える。


タイミングも完璧な夏樹くんは、本当に優秀だった。


話はスムーズに進み、直ぐに予約する場所も決まる。



「では、こちらで予約させていただきますね」


「控えもってーー」


控え持ってきてって言おうとしたのに、既に持ってきていた。

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