後輩くんは溺愛を隠せない
「大丈夫だよ。チェックというより、ただ見たいだけだから」
まだまとめ終わっていない資料をチェックしても、抜け漏れがあるのは当たり前だ。
だから、まだそれを指摘するつもりは無い。
納得してくれた夏樹くんから、紙の束を受け取りパラパラと捲っていく。
前回聞いた希望を元に、候補が挙げられている。
それに、私が最初にやっていた通り、値段の高いホテルだけでなく、穴場っぽい所も上げてある。
「ここの宿を候補にしたのはどうして?」
「それは......、紗知先輩がお客様に提示する時、そういう所も必ず入れてるからです」
理由はともかく、間違ってはいない。
ーーよく見てる。
私が指導担当でなければ、絶対に候補に入れないだろう。
ほかの宿も、希望に当てはまりそうな宿ばかりで、選択はいい。ただーー。
「田中様は、初めてのお客様じゃ無いからね」
「......?知ってますよ?」
「よし、頑張れ!ちなみに、期限は1週間ね」