後輩くんは溺愛を隠せない


「ーー紗知先輩の番号教えてください」


「うん!」



良かった......。


これなら春奈にも相談出来るし、待たせることも無い。


実は、今まで交換していなかった番号を交換して、ついでにチャットアプリにも登録しておく。



「紗知先輩、いいですか?帰る時間わかったら、チャット下さいね。
それと、お店出る時は電話してくださいよ?」



念を押すように、グイッと顔を近づけて夏樹くんが言う。



「はいはい、わかったよ」


「ぜったいですよ?」


「うん。約束ね」



そう言って、夏樹くんはやっと納得してくれた。


ーーどれだけ心配性なんだ。


私は別に小学生じゃないし、今までも一人で帰っていたから大丈夫なのに。


そう思いながらも、口には出さずに夏樹くんを見送った。


春奈はーーもう少しかかりそうだね。


目を向けると、まだ真剣な顔でパソコンと睨めっこしていた。


私も少し進めちゃおうかな。


今日やらなきゃいけない仕事はもう終わっている。


だから、明日の分を少しだけ手をつけた。

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