後輩くんは溺愛を隠せない


送信ボタンを押すと、10秒経たないうちに既読が着いた。返事が速い。



(紗知先輩、今どこですか?)


(電車乗ったところだけど......)


(じゃあ、降りたら教えてください!!)


(OK)



もしかして夏樹くん、ずっとスマホ構えて待っていたのかな?それに、降りたら教えるってどうして?


教えたところで、夏樹くんはもう帰ってるはず......だよね......。


ここまで考えて、心配になってきた。


先に帰ってとは言ったけれど、もしかして待ってるとか?


さすがに、そんなはず、ないよね。


私は、電車に揺られながらずっとそんな事を考えていた。



「え~、次は~......」



アナウンスで最寄り駅が言われて、電車がゆっくりと止まり、ドアが開く。



「居るはず、ないよね......」



私はキョロキョロと辺りを見回しながら、改札を通る。



「やっぱり、居ないよね」



居なくて良かったという想いと一緒に、何故か少し寂しく感じた。


ん?寂しいーー?

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