後輩くんは溺愛を隠せない
スルーして、私は話を変えた。
『そうですよ。でも、紗知先輩と電話出来るのも、悪くないですね』
「どうして?」
『だって、耳にーー直に紗知先輩の声が伝わってる気がして、それだけで、俺は幸せです!』
し、幸せ、なんだ......。
私もドキッとしてしまった事を夏樹くんから言われて、無意識に顔が熱くなった。
「そ、それより、電話!どうしたの?」
何か、話を変えないと、そう思いながら話を振る。
私は家に向かって歩きながら、熱くなった顔を冷ますように空いてる手でパタパタと扇いだ。
『どうしたの?って何がですか?』
「え、なんか用事があったんじゃないの?」
『用事は無いですけど......、今日は俺送れないんで、紗知先輩が1人にならないようにしようと思って』
「えっと......ありがとう?」
なんて言ったらいいのか分からない。
『紗知先輩、怖くないですか?1人で大丈夫ですか?』