後輩くんは溺愛を隠せない
そんなこと言われたって、家まで5分しかかからない。
人通りの少ない、薄暗い道でも5分くらいなら余裕だ。
「大丈夫だよ。そんなに心配しなくても、今までも1人で帰ってたんだし」
『でも、紗知先輩、可愛いから......。後付けられたりしてないですか?』
全く、なんの心配をしてるんだ。
私なんかの後付ける物好きなんて、居ないでしょ......。
「そんな人居るわけないでしょ?大丈夫だよ」
『紗知先輩は誰から見ても可愛いんですからね?』
念を押すように夏樹くんに言われた。
「お世辞ありがとう~」
『お世辞じゃないです!本気ですよ?』
「きっと、そう言ってくれるのは夏樹くんだけだよ」
可愛いなんて、夏樹くんからしか言われないし、思ってるのもきっと、夏樹くんだけだーー。
『はぁ......紗知先輩は鈍感だから、これからは俺が気づかせてあげます!』
「私は別に......鈍感じゃない!」
鈍感なつもりは無い。
むしろ、自分ではしっかりしている方だと思っている。