後輩くんは溺愛を隠せない
『無自覚なところも良いんですけどね。そういう紗知先輩、俺は好きですよ?』
「......っ、ばかっ」
耳元から聞こえる甘い声に、私がドキドキしないはずがなかった。
「も、もう家ついたから、じゃあね!ありがとう!」
いつもより数倍、上擦った声になってしまう。
そして、恥ずかしさを隠すように、勢いのまま電話を切った。
「なんで、夏樹くんにドキドキするのよ......」
いつもの何気ない5分が、今日はなんだか長く感じた。