後輩くんは溺愛を隠せない
だから、俺の選択も間違ってはいないはず......。
「夏樹くん、大丈夫?」
「あ、紗知先輩、一応まとめたんですけど、なんかしっくり来なくて......」
「見せて?」
紗知先輩は俺の作った資料をパラパラとめくっていく。
「うん、よく出来てる。ーー夏樹くんはどこがしっくり来ないの?」
「この2つの宿なんですけど......斉藤さんにもアドバイス貰って......あと、紗知先輩の言葉が気になって」
「私の言葉?」
「はい......。“初めてのお客様じゃない“って」
俺がそう言うと、紗知先輩はなんの事かピンと来た様だった。
「夏樹くんはさ、この宿どうして案に入れたの?」
「それは、紗知先輩なら、こういう所も入れると思ったからで......」
「確かに、私はこういう穴場っぽい所も入れるよ。だけどね、田中様の今までの資料見てみて?気づくことない?」
そう言われて、改めて今までの資料を見返す。