後輩くんは溺愛を隠せない
「お疲れ様~。見せて?」
「紗知先輩!?もしかして待っててくれたんですか!?」
「うん。今日チェックしないとだしね」
「すいません、ありがとうございます!」
「いいから、早く終わらせよう」
感極まって感激していたけれど、紗知先輩はさっさとチェックを始めている。
そんな真剣な表情も素敵だ。
「うん、後は誤字を直せば大丈夫。明日チェックしといてね。
この短時間で、よくここまでまとめられたね!」
「それは、紗知先輩のおかげです」
「私は何もしてないよ?」
紗知先輩のヒントがなかったら、俺は直さず初めのまま出していた。
それじゃあ、合格にはならなかっただろうし、田中様にも満足して貰えない。
それにーー。
「紗知先輩が頑張れって言ってくれたから......」
やる気が上がった。
「ま、まぁ、ほとんど終わってるし、ひと段落着いたから帰ろうか!」
最後までは言葉にしなかったけれど、紗知先輩は察したらしく、恥ずかしそうに、焦ったように言った。