婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
プロローグ
葉桜の季節を迎えたばかりの四月の半ば。やわらかな風に吹かれて舞い上がった桜の花びらは、晴天に恵まれた大安吉日の空によく映えた。
そんな中、ゴシック様式の壮麗な大聖堂にて式は滞りなく粛々と進められていく。聖歌隊によって美しい讃美歌が斉唱され、パイプオルガンの威厳があって気高い音色が私たちを包み込む。
「新郎、桜宮新。あなたはこの女性と結婚し、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」
牧師から問われた誓いの言葉を、新さんは少しも緊張を感じさせない凛とした声で答える。
さすがだわ。
「新婦、茉莉子」
次は私の番だ。
牧師が先ほどと同じ言葉を連ねるなか、私は視界いっぱいに広がる色鮮やかなステンドグラスに目を奪われていた。
どこでもいいって思っていたけれど、人気のある場所だと説明されて新さんに連れてきてもらった時、この神々しさに圧倒されてここがいいと自分から願い出た。
「慈しむことを誓いますか?」
意識を戻して、しっかりと声が通るように一度大きく息を吸う。
「はい、誓います」
そんな中、ゴシック様式の壮麗な大聖堂にて式は滞りなく粛々と進められていく。聖歌隊によって美しい讃美歌が斉唱され、パイプオルガンの威厳があって気高い音色が私たちを包み込む。
「新郎、桜宮新。あなたはこの女性と結婚し、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」
牧師から問われた誓いの言葉を、新さんは少しも緊張を感じさせない凛とした声で答える。
さすがだわ。
「新婦、茉莉子」
次は私の番だ。
牧師が先ほどと同じ言葉を連ねるなか、私は視界いっぱいに広がる色鮮やかなステンドグラスに目を奪われていた。
どこでもいいって思っていたけれど、人気のある場所だと説明されて新さんに連れてきてもらった時、この神々しさに圧倒されてここがいいと自分から願い出た。
「慈しむことを誓いますか?」
意識を戻して、しっかりと声が通るように一度大きく息を吸う。
「はい、誓います」
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