婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました


 個室へ戻るとすぐにデザートのフルーツ盛りが運ばれてきた。胸をドキドキさせながらその瞬間を待つ。

「茉莉子はもうすぐ大学卒業だ。そろそろ結納を交わして、式の日取りを決めないといけないな。新くん、娘が大学を卒業するまで待ってくれてありがとう」

 ついにこの時がきた。お父さんが喋っている横ですうっと息を吸う。

「それについてなのですが……」

 言い淀んで新さんに目配せをする。新さんは私をチラリと見てからすぐに視線を戻し、低くて色気がありながらもよく通る声で、とんでもない言葉を放った。

「こちらこそありがとうございます。素晴らしいご縁をいただき感謝しております。茉莉子さんを一生大切にすると、ここで誓います」

 ちょっと待って。なにを言っているの?

「五年は長かったですね。ずっと待ちわびていましたよ」

 そう言ってはにかむ顔を呆気に取られながら見つめる。
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