婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
奇跡の連続
水すらも吐いてしまう状態から、入院して三日目にはお粥や果物を食べられるまでに回復した。毎日少しずつ食べる量を増やしていき、メニューもお粥をおにぎりに変えたり、うどんなどの麺類を試してみたりと、一週間が経過する頃にはそれなりに食べられるようになっていた。
新さんはたとえ10分しか会えない日であっても毎日病院にきて私を安心させてくれた。
一日のほとんどを寝て過ごしているので特に話す内容もないし、新さんは普段からあまり喋らないので、たまに早くきてもたくさん話をするというわけでもない。
それでも同じ空間にいて、手を握ってもらえるだけで胸がじんと熱くなった。
一般的に妊娠八週から十週くらいにつわりのピークを迎えるとされている。今が九週目だとすると暗闇のなかを進んでいるようだった道の先に、僅かな明かりが差し込んできたように思う。
夕方から朝方にかけて嘔吐するので夕食がとれず、朝ご飯の時間が待ち遠しい。それに加えて一日の中で一番体調がいい時間帯なので、カーテンの隙間から陽射しが漏れてくると胸が弾んだ。