婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 保健体育の授業で習ったとはいえ、未知の世界過ぎてイメージトレーニングすらできないわ。

 今夜から同じベッドで寝起きをするみたいだけど、いわゆる結婚初夜というものを迎えるのかな。

 男性は好きでもない女性ともそういう行為ができると聞くし、新さんもそうなのだろう。

「なんだかなぁ」

 覚悟を決めたとはいえ、やはり戸惑いはある。

 幼い頃から自分は政略結婚するのだと理解して受け入れていたし、だから叶わない恋をしようなどとは一度も思わなかった。

 そもそも中高一貫の女子校、その後も女子大学に通っていたので男性との出会いすらなく、初恋の経験すらない。

 恋というのは芸能人相手に胸をときめかせるのとはきっと違うのよね。

 そんな私が身近な男性と聞かれて真っ先に思い浮かべるのはやはり新さんだ。

 出会った時、新さんは二十四歳だった。私とは違いたくさんの恋愛を経験してきているはず。

 いつも私をエスコートしているのだから、そっち方面もリードしてもらいたいけれど、どうなのだろう。
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