婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
結婚初夜


 翌日はカーテンの隙間から差し込む陽の光で目が覚めた。新さんは私から離れたベッドの隅で丸くなっている。耳を澄ますと微かな寝息が聞こえてきた。

 昨日は抱きしめられたまま寝ちゃったのよね。

 改めて思い返すとあの状況でよく寝られたなと苦笑する。

 でもすごく安心できたのよね……。

 整った寝顔をしばらく眺めた後、起こさないようにそっと静かにベッドから下りた。

 顔を洗ってから簡単な朝ご飯でも用意しようとしたのだけれど、冷蔵庫の中には使えそうな食材がないのだと思い出す。一応パントリーも確認したが、なんのための収納かと唖然とするくらいに物がなく、棚はすかすかだった。

 今日は帰りにスーパーにも寄らなくちゃ。よく見たら調味料だってほとんど揃っていないわ。

 今までずっと外食だったのかな。さすがにそれは身体に悪過ぎる。

 そういえばすぐ近くに有名なカフェチェーンがあったよね。ひとまず今日のところはそこで買ってこよう。

 簡単に化粧をして、実家から持ってきたデニムパンツと白のパーカーを身につけて急いでマンションを出た。
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