婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 ご近所過ぎるとお客さんと会った時に気まずいし、マンションからほどよく離れた場所の方がいいかな。

 自分なりの条件を決めて探してみると、電車で一駅ほど離れたところにいくつかよさそうなカフェがあった。

 スーパーに行った時に買ってきた履歴書を広げて記入をして、店舗の雰囲気が一番かわいらしいカフェに電話をかけてみた。

 繋がった電話口からはまだ若そうな男性の声。鼓動が駆け足になって胸に手を添える。

 都合がいいならこれから来てほしいと言われ、承諾して通話を切った。

 慌てて姿見に自分の姿を映す。グレーのシフォン素材のブラウスと、小花柄が散りばめられた黒色の膝下スカート。

 このままでも大丈夫そう。髪だけまとめようかな。

 忙しい朝でもいつものように私の服を選んでくれた新さんに感謝しなくちゃ。

 はやる気持ちをどうにか抑えながら、転ばないようにしっかり地面を踏みしめて最寄り駅まで向かった。

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