婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
「そこまでしてくれなくていい」
突き放すような声音なのだが、女性はクスクスと楽しそうに笑っている。
新さんが本気で言っていないと分かっている? ふたりの間ではこういうやり取りが日常なの?
頭が酷く混乱している。
「とにかく、必要があれば俺の方から出向くから」
『分かったわ。待っているから』という台詞を最後に通話は切れた。
はあ、と大きな溜め息を吐いて携帯電話を手放すと、新さんはベッドを軋ませながら近づいてきた。
数分前まで彼の全てを感じていたつもりになっていたのに、目の前にいる人物がまるで知らない人のように目に映る。
「お友達ですか?」
「友達とは言えないな。しいていえば知り合いだ」
「ただのお知り合いに、素を晒しているのですか?」
新さんの顔が一瞬強張った。
「もしかして以前お付き合いされていた方ですか?」
「それはない」
元交際相手ではないのならいいのかな。でも、もしかして身体だけの関係を持っている相手とか……。
聞きたいけれど違っていたらものすごく失礼だ。それに顔も知らない女性のせいで口論などしたくない。
「気になるか?」
そうは思っても、こう聞かれては頷かずにはいられない。
「とても気になります」
突き放すような声音なのだが、女性はクスクスと楽しそうに笑っている。
新さんが本気で言っていないと分かっている? ふたりの間ではこういうやり取りが日常なの?
頭が酷く混乱している。
「とにかく、必要があれば俺の方から出向くから」
『分かったわ。待っているから』という台詞を最後に通話は切れた。
はあ、と大きな溜め息を吐いて携帯電話を手放すと、新さんはベッドを軋ませながら近づいてきた。
数分前まで彼の全てを感じていたつもりになっていたのに、目の前にいる人物がまるで知らない人のように目に映る。
「お友達ですか?」
「友達とは言えないな。しいていえば知り合いだ」
「ただのお知り合いに、素を晒しているのですか?」
新さんの顔が一瞬強張った。
「もしかして以前お付き合いされていた方ですか?」
「それはない」
元交際相手ではないのならいいのかな。でも、もしかして身体だけの関係を持っている相手とか……。
聞きたいけれど違っていたらものすごく失礼だ。それに顔も知らない女性のせいで口論などしたくない。
「気になるか?」
そうは思っても、こう聞かれては頷かずにはいられない。
「とても気になります」