婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 一分もすれば結果が出ると説明書には書かれていたが、その短い時間すら待たずして判定窓に薄っすらとラインが現れた。

 心臓がバクバクと頭にまで響いてくるほど激しく脈打っている。

 これって、陽性だよね。

 妊娠が発覚した途端、不安な感情は吹き飛び、嬉しさが胸いっぱいに込み上げた。

 生理予定日から一週間過ぎているから、おそらく妊娠五週目に差しかかった頃だ。

 まずは新さんに報告して、それから病院に行くべきだよね。

 心がそわそわして落ち着かなくてリビングをひたすら歩き回る。

 喜んでくれるかな……。

 今日は何時頃に帰ってこれそうかとメールで聞いてみると、すぐに返信があった。

【二十二時には帰れると思う。どうかした?】

 私から帰宅時間を尋ねるのは初めてだから、変な心配をかけたかもしれない。

 いつもより遅い時間を残念に思いつつ、【なにもないですよ。ただちょっと相談があるので待っています】と返した。
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