婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
「早い人はこの週数から始まるからね。一般的につわりのピークと呼ばれる時期までもう少し日数があるし、吐き気が酷くて水分が摂れなくなったら点滴を打った方がいい場合もあるから、我慢せずにきていいからね」

 まだまだこれから症状が重くなっていくのね。

 ドラマとかではよくトイレに駆け込んで吐いたりするけれど、あんなふうになるのかな。

 不安が表情に表れていたのか、先生は私に安心させるように微笑みかけてから新さんに視線を移す。

「まだ見た目の変化はないけれど、妊婦さんは疲れやすいし貧血にもなったりするから、旦那さんがフォローしてあげてね」

 神妙な顔つきで新さんは「はい」と頷く。

 気分は変わらず悪いのに、一緒に身体のことを考えてくれる人がいるというだけで不思議と吐き気が和らいだ気がした。

 次の健診は四週間後だそうだ。妊娠は病気ではないといっても、一ヶ月も間が開くなんて驚きだ。

 他の妊婦さんたちは心配になったりしないのかな。

 母子手帳の交付をする書類をもらってお会計を済ませた後は、病院内にあるレストランで少し早い昼ご飯にする。

 さっぱりしたものなら食べられるかと思ってうどんを頼んだけれど、いつもの半分しか口にできなかった。
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