Lose everything

陽真が目を覚ますと
横に千紗は、いなかった。

携帯に、“ごめんね”
と、LINEが来ていた。

桜子からも
ついたよ、と、LINEが
4時過ぎにきていた。

あの電話から30分、40分後だ。
秀一さんと直ぐに別れて
お風呂に入ってLINEしたのか

あれから、一緒にいて
別れたばかりなのか
もう・・わからない・・・

何をどう信じてよいのか
わからなくなっていた。

俺が桜子に片想いをする前から
桜子は、ずっと、ずっと秀一さんを
想い続けていた。

やはり・・桜子の中から
秀一さんがいなくなることは
ないのだ
勝てるわけない・・・か・・・

それでも良いと思って
今まで、桜子を振り向かせるために
がむしゃらに頑張った。
なのに・・・

 どうして・・

 ·······式まで······· 一週間·····

‥‥‥‥しかない·····のに·······

‥‥‥それでも・・桜子の中から······

‥‥秀一さんは‥‥いなくなら‥‥ないだ‥‥

  もう・・疲れた・・・

桜子が好き過ぎて
   心が‥‥‥‥つぶれそうだ。

秀一さんは、桜子のものには
決してならない。

だけど、人の気持ちは
簡単には、変わらないと
痛いほど思い知った。

俺は、式場にキャンセルの連絡をして
両親の元へ話しに帰った。

キャンセル料は、発生したが
こんな状態で結婚することは
無理だと思った。

父は、
驚きをかくせないようだったが
俺の顔を見て、かえって
心配してくれた。

そんな俺と父を見て
義母は、涙を流して
悲しんでくれた。

俺は、会社を辞めたいと相談した。

今まで、自分の事で相談したことも
助けを求めたことも
一度もなかった俺に父親は
悲しみと嬉しさを滲ませながら
話をしてくれた。

父は、大手の建設会社で
部長をしている
その会社は、日本全土と海外にも
支社、支店を持つが新しく北海道に
支店を置く事になっていた。

「そこに行ってみないか?」
と、言ってくれた。

俺は、親父にお願いして
そこへ行く事にした。

直ぐに、会社の課長と話しをした。
急であるが、会社を辞める事を
受理してもらった。

父親と父親の会社の社長は同級生で
その社長と俺が勤める会社の専務が
友人の為に俺の退職の話しはスムーズに
進んだ。

友人達には、
LINEで悪かったが
お詫びをして
北海道に移動になった事を
伝えた。

今日が、土曜日で良かった。

マンションの解約の手続きもして
日曜日に家具家電は処分してもらい
衣類だけ実家に一度運び
今日は、ホテルに泊まり
月曜日には、北海道に入り
会社に挨拶に行き
住まいを決める。

父親の会社の社長から
北海道の支店には連絡が
入っていたため話しは早かった。

新転地で一からやり直す。
平社員から・・・・

屈辱的だが、今は何も考えずに
いられる方が良いと
自分を奮い立たせた。
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