Lose everything
式場について
呆然とする桜子に代わり
渉は、キャンセルしたことを
再度、お詫びをして
桜子への手紙を受け取り
渉は、渉のマンションに
桜子を連れて帰った。
桜子に手紙を渡しても
握っているだけで
開こうとしない・・・
渉は
「開けて良い?」
と、言うと
桜子は、微かに頷いた。
開いて読むと・・・
勝手に式場を
キャンセルしたことの謝罪から
始まり・・
金曜日の夜
桜子が秀一さんといたのを
自分の妹が見ていた事が
書かれていた。
そして・・・
ずっと、桜子の中に秀一さんが
いたのはわかっていた事
それでも、桜子を愛していたから
がむしゃらに想いを伝えてきた事が
書かれていて・・・
だけど・・やはり・・・
勝つことは・・ないんだと
わかった。
たまたま、一緒だったのかも
知れない。
秀一さんは、結婚するし
桜子の気持ちは、薄れているのかも
知れない。
だけど・・あんな幸せそうな
桜子の顔を俺は見たことがない
あんな笑顔を
俺に向ける事はないんだ・・と
よく・・わかった・・
無理矢理、プロポーズを受けて
くれたとは思っていない
少しは、俺にも気持ちがあった
と、思いたい
そうでないと、あまりにも
惨めすぎる。
桜子が俺のプロポーズを
受けてくれた時の
嬉しさだけを俺は心にしまい
桜子を・・解放します・・・。。。
人の心の中には、
誰も踏み込むことはできません。
心・・だけは・・
お金や物では、買うことも出来ない
俺は、桜子の気持ちを最後まで
変えることは・・
できなかったんだな・・・
俺のわがままに付き合わせて
すまなかった。
桜子さんは、桜子さんが思うように
のびのびと生きて欲しい。
宮下家の御両親には、
申し訳ありませんでした。
と、お伝え下さい。
高木 陽真
と、書かれてあった。
それから、たどたどしく・・
桜子は、あの日にあった事を
話してくれた。
私が一緒にいたら
こんなことには、ならなかった
と、渉は悲しかった。
桜子の秀一さんへの気持ちも
ずっと見てきた。
だが、陽真の桜子を想う気持ちも
知っているだけに・・・
桜子が、どんな風にしながら
秀一さんといて
どんな写真だったのか
わからないが・・・
桜子が、嘘をついたのも
常に秀一に怯えている
陽真にとっては、
ダメージが大きかっただろう
桜子は、桜子で
陽真に気を使ったんだろう。
もう少し、気持ちが
煮詰まってからの
結婚で良かったのかもしれない。