Lose everything
桜子は・・・
母からは、あの時に叱られただけで
その後は、責められる事はなかった。
父は、陽真のご両親と話してからは
私とも普通にしてくれていた。
私は、仕事には行く
だが、ただ会社に行き
やらないといけない仕事をして
帰る・・それだけだった。
あの日
私と陽真の所属する課長から
「大変だったな、宮下?大丈夫か?」
「あっ、はい。ご迷惑おかけしました。」
「いや、お前は被害者なんだから。」
「えっ?」
「聞いた。高木から。
あいつ、他に好きな女ができたから
お前、宮下と結婚したくなくて
逃げたんだろ?
お前と一緒にいたくないからと」
「だっ、誰がそんなことを?」
「高木本人から聞いた。
あいつ、あんなに宮下を、好きだ
好きだと騒いでいたのに
簡単に切るなんて。
頭にきたから、お前みたいなやつ
絶対幸せになんかなれるわけない
と、言ってやった。」
と、言われて
「課長、違うんです。」
と、言ったが
「宮下は、優しいな。」
と、言って席に戻った。
陽真は、自分だけを悪者にして
同じ会社で私が勤めやすいように
してくれたんだと
わかった。
本当に、どれだけ
私は・・・大事され・・
守られて・・いたのか・・
あんなにしゅうちゃんの事を
気にしていたのを知っていたのに
陽真の事を軽視していたんだ
私は・・・
『桜子さん』
『桜子!!』
と、呼んで、私の回りに常に
いた・・・陽真・・・
たまに、はにかみながら・・
照れながら・・・
好きだよ‥‥‥‥‥‥
愛してる‥‥‥‥‥
と、言ってくれて・・いたのに・・
もう・・あの言葉を・・・
言っては・・・
もらえない‥‥‥‥‥‥。。。