Lose everything

渉・・

高木君が、いなくなってから
いろんな噂が出回っていた。

ほとんどが桜子に同情的な内容だ

桜子が課長に聞かされた
話をきいて・・

バカな高木は、一人悪者になっていた。
まぁ・・あいつ、高木らしい。

高身長にあの顔、
いわゆるイケメンという奴

だが、高木は告白されても
誰にも応える事がないと聞いた。

そんな高木を見ていると
桜子を想っているのが
少しずつ見えてきた。

だが・・桜子は、小さい頃から
ずっと、幼馴染みの秀一さんを
想っていた。

他の男性に目を向けようと
付き合った事もある
だが、結局長く続かなくて
幾度目かには、もう無理して
付き合うのを止めた。

何度も秀一さんには
気持ちも伝えてきた桜子
だが、一度たりとも
秀一さんから女性として
みられることはなく
妹としての扱いだった。

そんな秀一さんの結婚が決まり
招待状を秀一さん本人から
渡されて、桜子の落ち込み用は
酷く
今まで、桜子に気持ちを伝えずに
良き後輩の位置にいた高木が
見るに耐えれずに
告白をした。

高木の桜子に対する態度は、
分かりやすいが
桜子には、通じてなかった

桜子に近づく男性を牽制したり
桜子が疲れていると
桜子に気づかれずに桜子の仕事を
自分に回して負担を軽減したり
だけど、ふとしたときには
桜子に甘えたり
食事や飲みに会に誘ったり
していた。

本当に、どれだけ桜子を良く見て
桜子の事を考えているかがわかる。

私がニヤニヤしていると
絶対に言わないで下さい
桜子さんに伝えると決めたら
きちんと自分の口から伝えますから
と、お願いされていた。

秀一さんの事も知り
高木は、かなり意識していた。

小さいときから
桜子のそばにずっといる秀一さんに
自分なんかが勝てるだろうか
と、10年も片想いをしている
自分に自信もない高木

イケメンでも、悩むんだな
と、私は面白がっていた。

そんな高木が・・・
桜子と付き合うようになり
天にも昇るように浮かれ
舞い上がっていた・・
そして・・プロポーズに
OKを貰い、死んでも良いぐらいの
騒ぎぶりだった。

私は、高木に
嬉しい気持ちは、わかるが
落ち着いて回りを見るように
話もしていた。

それが、まさか・・こんな事に・・
なるなんて・・・思っていた・・
わけじゃなかった・・・

あいつが・高木が、
あんなに惚れていた
桜子から、どんな気持ちで
離れていったのか
どんな気持ちで
式をキャンセルしたのか
計り知れ・・・なかった。

自分より桜子が
仕事がやりやすいように
自分が会社を去ることにしたのだろう、
後に残る桜子が
嫌な思いをすることがないように
自分がすべて悪いことにして

桜子に秀一さんに対する気持ちが
まったくないとはいえない・・

あれだけ、想い続けていたのだから。
簡単には、消せないし
消えるわけがない。

それでも、高木の事が秀一さんより
少しだけでも、ちょっとだけでも
上回ったからプロポーズを受けたはず
それを桜子も口にだして
伝えていたら・・・

その桜子の気持ちに
高木が自信が持てていたら・・

私は、二人共に
幸せになって欲しい・・・・
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