Lose everything

そう・・

あの日は
朝から桜子さんの様子が
おかしかった。

なんとか就業時間をやりこなして
いたが・・・

俺は、那木さんに訊ねたが・・

那木さんは、中々
  口を開いてくれなくて・・

でも・・・

「桜子が片想いをしていた
幼馴染み、結婚するんだって。
桜子にも結婚式に出席して欲しいと
手渡しで招待状を持ってきたみたいよ。」
と、きいて
俺は、その場を足早に離れて
桜子さんを探した。

桜子さんが席を立って
そんなに経っていない
社外に出てキョロキョロすると
桜子さんの後ろ姿を見つけ
走って追いかけ
桜子さんの手をとって
近くの公園に連れて行く

「ちょっ、ちょっと、高木君?」
と、言う桜子さんを無視して
どんどん前に進み
奥のベンチに桜子さんを
座らせ
俺は、桜子さんの前に立つ
「今日一日、自分がどんな顔をして
いたか、知っていますか?
そんなに・・そんなに・・
好きだったのです・・・かっ?」
と、言うと
「・・・きいたのっ・・?・・
・・だって・・ずっと・・・
しゅう・・ちゃん・・だけ・・を・・」

と、涙をポロポロ流す
桜子さん・・を・・

俺は堪らなくなって
桜子さんを抱き締めて
「俺にして。
俺を見て。
俺は、桜子さんを10年みてきた
俺なら、大切にする
俺なら、大事にする
だから・・俺にしてっ・・
下さい・・っ・・」

桜子さんは、俺の顔をはっとして
見上げ・・・

悲しく、つらそうな顔をした
 桜子さん・・・

お願い・・
消えてなくならないで・・
と、願う俺に・・・

桜子さんは、俺の腕の中で
首をずっと横に振る。

だけど、悲しそうに
嗚咽をあげながら涙を流す
桜子さんを俺は手放す
事ができず・・
桜子さんは、俺の腕の中で
倒れてしまった。

俺は、俺のマンションに
桜子さんを連れて行き
ベッドの上にそっと寝せて
温かいタオルと冷たいタオルを
交互にあてた。

しばらくすると
桜子さんは、気がついて
びっくりしていたが
瞼が重いらしく
目があまり開かずに
「ごめんね。迷惑かけて
もう、失礼するから。」
と、口ばやに言うが
「無理。はい、食べて。」
と、言ってパスタとスープを
テーブルに並べて
桜子さんの手をひいて
椅子に座らせた。
「えっ、高木君が作ったの?」
「はい、料理するの嫌いじゃないから。」
「おっ、美味しい」
「良かった。」

「あ〜食べ終わっなら帰るね。」
と、言う桜子さんに
「そんな顔で、帰せない。」
と、言うと
諦めてくれたから
お風呂を進めて
俺の私服とコンビニで
買ってきた下着を脱衣場に
置いた。

リビングにきた桜子さんは、
「ありがとう。」
と、頬を染めながら
言ってくれた。

今夜は、桜子さんにベッドに
寝てもらい
俺はソファーに寝た。

何度も謝り、
「帰るよ。」
と、言う
桜子さんに
「どうしても無理だから諦めて。」
と、説得した。

リラックス出来るように
少しだけアルコールを
飲ませると
桜子さんは、直ぐに眠ってしまった。

そんな桜子さんをベッドに運び、
そっとおろすと
桜子さんの目尻から
涙がツーッと流れた。

俺は、桜子さんの目尻に
唇をあて涙を吸いとる。

リビングに戻ってから
那木さんにLINEして
簡単に経緯を送ると
『襲ったら、抹殺する。』
と、LINEが返ってきた。
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