Lose everything
16
それからの私の行動は
早かった。
そんな私を見て
渉は、呆れながらも
喜んでくれた。
上司は、驚いていたが
私の年齢も踏まえて
私の意思が固いのも見て
了承してくれた。
新しい人材をいれて
引き継ぐまで
二ヶ月ほしいと頼まれて
それで進めて貰うことにした。
その夜に
陽真には、電話で話した。
陽真は、びっくりして
声が出なかったが・・・・
「桜子・・・・ありがとう。」
と、泣きながら呟いた。
「陽真、待たせてごめんね。
私、心からあなたが好きよ。
あなたとだから、幸せになりたいの。」
「ありがとう・・・ありがとう・・・
桜子っ、愛してる。」
と、言ってくれた。
火曜日の定時後に
私は実家に帰り
父と母に陽真と再会したときからの
話をした。
驚いた事に
両親は、秀一さんから
再会計画を聞かされていたと・・・・
「桜子が、報告にくるのを待っていた。」
と、父が言うと
母は、涙を流しながら頷いていた。
本当に心配ばかりかけている
私を、両親はいつも温かく見守って
くれている。
「お父さん。お母さん。ありがとう。」
と、心から伝えた。
両親は、陽真の怪我を心配して
くれたから
「改めて、一緒にくるね。」
と、話して
今日は、お母さんの手料理を
三人で食べた。
マンションに帰り
その事を陽真に伝えると
「何でも、一人でやらせてごめん。」
と、言うから
「これは、私がやらないと
いけない事だったから。
だけど、挨拶は一緒に行ってね。」
と、言うと
「もちろん。
前回の事もきちんと謝罪したいから。」
と、言ってくれた。
それと・・・
「あの人・中山さんが
今日、お見舞いの花を
届けにきたよ。」
陽真は、私が不安にならないように
きちんと報告してくれた。
彼女は、きっと
陽真に恋をしたのかな?
陽真は、身長も高く
顔も整っている。
私みたいな年上でなくても
と、思うが・・・
私が陽真でないと
ダメなんだから・・・・・
申し訳ないけど
陽真を・・・誰かに・・・とは
言えない。
「陽真、ありがとう。」
「ううん。」
一度、離れた私達の
絆は、強く
もう二度と
お互いに、離れられない存在と
わかっていた。