Lose everything
金曜日は、午後から
早退させてもらい
北海道へ向かった。
陽真のお義母さんには、
前の日に電話をして
「明日、北海道に行って来ます。」
と、伝えると
お義母さんは、
「宜しくお願いします。」
と、言ってくれた。
無事に北海道に着き
病院へと向かう
「あの、もう、本当に
気にされなくて良いので。
お見舞い等も結構です。
順調に回復していますので
ご心配いりません。」
「お見舞いに来ることも
ご迷惑でしょうか?
恋人の方もこちらの方では
ないと伺っています。
怪我をされている高木さんを
放置して東京に戻られたの
ですよね。
私でしたら、怪我をした恋人を
置いて行ったりできません。
心配でたまりませんから。
私をそばに置いて下さい。
私は、高木さんが好きです。」
と、聞こえた。
「あなたに、私達の何が
わかるのです。
あなたに、俺の恋人の何が
わかるのです。
彼女が俺の事を心配しないで
東京に戻ったと思いますか?
彼女は、そんな女性では
ありません。
それは、俺が一番わかっています。
俺の為に仕事を放りだして
飛んできたのです。
彼女がいないと彼女のいる
部署は大変なんです。
それでも、俺を心配して
飛んできてくれた。
俺は、それだけで幸せなんです。
俺にとって桜子は、
何者にも代えがたい女性なんです。
あなたの気持ちに一ミリでも
俺が傾く事はありません。
お引き取り下さい。」
と、陽真は言った。
彼女の気持ちを考えて
私は、その場から
少し離れて
時間をおいてから
陽真の病室に行った。
「陽真。」
「あっ、桜子!
今、ついたの?」
「う~ん、さっき。」
と、笑うと
「聞いていたんだ?」
「なにを?」
「まぁ、いいや。聞いていたなら
桜子、こっちに来て。」
と、言われて陽真の所に行くと
ギュっと抱き締められて
「愛してる。」
と、囁かれ
真っ赤になりながら私は、
「私も‥‥‥‥愛してる‥‥」
と、答えるとそのままキスをされ
「はぁっ、桜子を抱きたい。」
「‥‥‥‥‥ばかっ‥‥‥」
「だって。」
クスクスっ、笑ってから
「高木 陽真さん、
二ヶ月したら
会社を退職して北海道に
移り住みますので
私と結婚してください。」
と、言うと
一度体を離して
びっくりした顔で、私を見る陽真‥‥‥
それから、みるみる
顔が破顔していき
涙を流しながら
「はい。こんな俺ですが
宜しくお願いします。」
と、両手を握りしめられながら
言われ、そのまま陽真に
抱き締められた。