Lose everything
あの日、唖然としながら
彼女を目で追っていた。
すると、何か、違和感が・・・
そう、彼女は、
キッチンも部屋の中も
どこに、何があるか
わかっていた。
だから、戸惑いがなかったのだ。
「あなた、ここに来たの
今日が初めてではないわね。」
と、言葉にすると
彼女は、はっとしたように
顔をあげて。
「すみません。」
と、頭を下げた。
彼女は、月に何度か来るように
なったと、話してくれた。
最初は、本当に追い払われていた。
だけど、今回の様に
顕の体調が悪いときに
看病してからは、
部屋にあげてくれる様になった。
もちろん、彼女がいて
彼女を大切にしていると
聞いていたから
絶対に私の痕跡は残さない用に
していた、と。
いつからなのかは
どうしても聞けなかった。
何年も騙されていた
と、思いたく・・なかった・・から・・
私は、本当に
顕が、好きだったから・・・・
だから、彼女に
私がここに来たこと
彼には言わないで。
そうすれば、自ずと彼女の
話も聞かなかったことになる。
そう、思ったから。
そのまま、顕と、別れようと。
顕の部屋に出入りしていると
言うことは、そういう事だから。
顕に
「私・・・
私だけが、顕を好きで
顕との結婚を夢みていたんだね。」
と、言うと
顕は、顔を上げた
その顔には、
悲しみと切なさが
交わった顔をしていた。
「顕、終わりにしよう。
幸せになってね。
今まで、ありがとう。」
「嫌だっ、嫌だっ・・・・」
と、頭をふる顕。
立ち去ろうとする私の手首を
握る顕・・・・
これは、言わずにいたかったが・・・
「騙されていた事は
私の中からは、消えていかない。
ただ、いつからだったのかは
知らずにいたい。
全てを否定されるのは
あまりにも痛手が
大きい・・・から・・・」
と、言って
顕の手をゆっくりと
ほどき
「さよなら」
と、告げた。
顕の・・・・・
「渉・・・渉・・・・っ・・」
と、呼ぶ声が聞こえたが
振り向く事はしなかった。
涙を拭きながら
電車で帰るのは無理かと思い
タクシー乗り場に・・・・
すると・・
ブッ、ブッ、とクラクション。
何気なく音を方を見ると
冴島さんが、車のドアを開けて
降りてきた。
「まったく、待ちくたびれた。」
と、言う彼に
「もっと、優しい言葉を
かけれないのですか?」
と、訴える私に
「言葉が、必要?」
と、言いながら
私を抱き締めてくれた。
私は、冴島さんの温かさに
涙が止まらなかった。
彼は、ギュっと
私を胸の中に抱き入れて
「帰ろう。」
と、言った。
本当に、不器用なのか
気が回るのか
わからない、つかめない人だわ。
私を私のマンションに送り届けて
くれて、食べそこなった夕飯を
買ってきてくれていて
渡してくれた。
「もったいないから、ちゃんと
食べて。そして、明日
今日の埋め合わせしてね。」
と、言った。
「うん、ありがとう。」
と、言って車をおりた私を
冴島さんは、もう一度抱き締め
「スーツに鼻水ついた。」
と、言うから
笑ってしまうと
おでこにチュッとキスをして
車に乗り込み
帰って行った。
私は、驚きで
おでこに手をあて
しばらく動けずにいた。
彼女を目で追っていた。
すると、何か、違和感が・・・
そう、彼女は、
キッチンも部屋の中も
どこに、何があるか
わかっていた。
だから、戸惑いがなかったのだ。
「あなた、ここに来たの
今日が初めてではないわね。」
と、言葉にすると
彼女は、はっとしたように
顔をあげて。
「すみません。」
と、頭を下げた。
彼女は、月に何度か来るように
なったと、話してくれた。
最初は、本当に追い払われていた。
だけど、今回の様に
顕の体調が悪いときに
看病してからは、
部屋にあげてくれる様になった。
もちろん、彼女がいて
彼女を大切にしていると
聞いていたから
絶対に私の痕跡は残さない用に
していた、と。
いつからなのかは
どうしても聞けなかった。
何年も騙されていた
と、思いたく・・なかった・・から・・
私は、本当に
顕が、好きだったから・・・・
だから、彼女に
私がここに来たこと
彼には言わないで。
そうすれば、自ずと彼女の
話も聞かなかったことになる。
そう、思ったから。
そのまま、顕と、別れようと。
顕の部屋に出入りしていると
言うことは、そういう事だから。
顕に
「私・・・
私だけが、顕を好きで
顕との結婚を夢みていたんだね。」
と、言うと
顕は、顔を上げた
その顔には、
悲しみと切なさが
交わった顔をしていた。
「顕、終わりにしよう。
幸せになってね。
今まで、ありがとう。」
「嫌だっ、嫌だっ・・・・」
と、頭をふる顕。
立ち去ろうとする私の手首を
握る顕・・・・
これは、言わずにいたかったが・・・
「騙されていた事は
私の中からは、消えていかない。
ただ、いつからだったのかは
知らずにいたい。
全てを否定されるのは
あまりにも痛手が
大きい・・・から・・・」
と、言って
顕の手をゆっくりと
ほどき
「さよなら」
と、告げた。
顕の・・・・・
「渉・・・渉・・・・っ・・」
と、呼ぶ声が聞こえたが
振り向く事はしなかった。
涙を拭きながら
電車で帰るのは無理かと思い
タクシー乗り場に・・・・
すると・・
ブッ、ブッ、とクラクション。
何気なく音を方を見ると
冴島さんが、車のドアを開けて
降りてきた。
「まったく、待ちくたびれた。」
と、言う彼に
「もっと、優しい言葉を
かけれないのですか?」
と、訴える私に
「言葉が、必要?」
と、言いながら
私を抱き締めてくれた。
私は、冴島さんの温かさに
涙が止まらなかった。
彼は、ギュっと
私を胸の中に抱き入れて
「帰ろう。」
と、言った。
本当に、不器用なのか
気が回るのか
わからない、つかめない人だわ。
私を私のマンションに送り届けて
くれて、食べそこなった夕飯を
買ってきてくれていて
渡してくれた。
「もったいないから、ちゃんと
食べて。そして、明日
今日の埋め合わせしてね。」
と、言った。
「うん、ありがとう。」
と、言って車をおりた私を
冴島さんは、もう一度抱き締め
「スーツに鼻水ついた。」
と、言うから
笑ってしまうと
おでこにチュッとキスをして
車に乗り込み
帰って行った。
私は、驚きで
おでこに手をあて
しばらく動けずにいた。