【完】喫茶「ベゴニア」の奇跡
「そうやって残酷だけど世界は回っているんだよ」と話す由希くんはとても格好良くて素敵だった。
「ま、もちろんさっきの奈央ちゃんと一緒で、ただの一意見にすぎないから。これが完璧な答えじゃないと思うし、賛否両論もあるだろうね」
さっきまでの真剣な表情から一気にへらっとした表情になる。確かにこの世は賛否両論で進んでいる。何億人もの人間が同じ方向を向く日などこれまでになかったし、これからも訪れないだろう。しかし賛否両論があるからこそ、こんなにも文明を築いてこれたのであろう。
由希くんは「でも、」と最後に告げる。
「そのために生きようとこの世の全ての人が思えば思うほど、より一層この世界が美しく見えるだろうね」
***
「橋本さん、コーヒーのおかわりはどうする?」
「え、ああ・・・もらいます!お願いします」
それから由希くんは仕事に集中するから。と今度は本気でパソコンと向かい合っている。その横で邪魔にならないくらいの音量で桐山さんとお喋りをしていた。いきいきとした顔で指をただキーボードの上を走らせている由希くん。さっきはなかなか話が進まないとふてくされていたのに。今はどう言った内容の小説を書いているのだろう。今まで早乙女ゆきの作品は確か学生ものから大人の恋愛まであったような気がする。どうしても気になってこそっと桐山さんに聞いてみると、教えるなと言われているらしい。聞いた私も馬鹿だった。普通聞いても教えてくれないだろう。
「桐山さんは全部知ってるの?」
「・・・そうですね。大体は」
「!へえ・・・そういえばさっきモデルにしている人がいるって言ってましたけど、桐山さんも知っている人なんですか?」
桐山さんは急に咳き込み始める。
「ま、もちろんさっきの奈央ちゃんと一緒で、ただの一意見にすぎないから。これが完璧な答えじゃないと思うし、賛否両論もあるだろうね」
さっきまでの真剣な表情から一気にへらっとした表情になる。確かにこの世は賛否両論で進んでいる。何億人もの人間が同じ方向を向く日などこれまでになかったし、これからも訪れないだろう。しかし賛否両論があるからこそ、こんなにも文明を築いてこれたのであろう。
由希くんは「でも、」と最後に告げる。
「そのために生きようとこの世の全ての人が思えば思うほど、より一層この世界が美しく見えるだろうね」
***
「橋本さん、コーヒーのおかわりはどうする?」
「え、ああ・・・もらいます!お願いします」
それから由希くんは仕事に集中するから。と今度は本気でパソコンと向かい合っている。その横で邪魔にならないくらいの音量で桐山さんとお喋りをしていた。いきいきとした顔で指をただキーボードの上を走らせている由希くん。さっきはなかなか話が進まないとふてくされていたのに。今はどう言った内容の小説を書いているのだろう。今まで早乙女ゆきの作品は確か学生ものから大人の恋愛まであったような気がする。どうしても気になってこそっと桐山さんに聞いてみると、教えるなと言われているらしい。聞いた私も馬鹿だった。普通聞いても教えてくれないだろう。
「桐山さんは全部知ってるの?」
「・・・そうですね。大体は」
「!へえ・・・そういえばさっきモデルにしている人がいるって言ってましたけど、桐山さんも知っている人なんですか?」
桐山さんは急に咳き込み始める。