【完】喫茶「ベゴニア」の奇跡
「今までありがとう。出会えて良かった」
「こちらこそ。春人も、幸せになってね」
「ああ、奈央以上に幸せになってやるからな」
そう言って、エントランスの扉に手をかける。
「ええ、私だって負けないんだから」
「「ーーさようなら」」
最後に見送った背中は以前よりも小さく感じたけれど、前を向いた強さが滲み出た安心できる背中だった。数ヶ月前のあの日とは違って、涙でぼやけることなんてしない。その姿が見えなくなるまで、私はしっかりとこの目に焼き付けた。
次は、私が。
携帯を取り出し、今もコーヒーの香りに包まれて仕事をしているであろうあの人の名前を探し出す。メッセージに「会って話したい」と送った。水樹くんも伝えてくれた、春人も伝えてくれた。今度は私が頑張る番なのだ。
案外すぐに返信の着信音がなる。そのメッセージを一目見て、私は家の中に戻った。
「24日の22時半、喫茶「ベコニア」で待ってる」
クリスマスまであと3日。
「こちらこそ。春人も、幸せになってね」
「ああ、奈央以上に幸せになってやるからな」
そう言って、エントランスの扉に手をかける。
「ええ、私だって負けないんだから」
「「ーーさようなら」」
最後に見送った背中は以前よりも小さく感じたけれど、前を向いた強さが滲み出た安心できる背中だった。数ヶ月前のあの日とは違って、涙でぼやけることなんてしない。その姿が見えなくなるまで、私はしっかりとこの目に焼き付けた。
次は、私が。
携帯を取り出し、今もコーヒーの香りに包まれて仕事をしているであろうあの人の名前を探し出す。メッセージに「会って話したい」と送った。水樹くんも伝えてくれた、春人も伝えてくれた。今度は私が頑張る番なのだ。
案外すぐに返信の着信音がなる。そのメッセージを一目見て、私は家の中に戻った。
「24日の22時半、喫茶「ベコニア」で待ってる」
クリスマスまであと3日。