初めてのお見舞い ~15年目の小さな試練 番外編(1)~
「いや、娘への見舞は結構です。ここにはいませんし。
入学以来の疲れが溜まっているようでね、昨日の夜、発作を起こして救急車で運ばれて入院しました。医者から面会を禁じられていますから」



「まあ、本当に色んな人がいますからね。相手の人間性まで見極めて採用するのは、なかなか難しいでしょう。ええ、それは重々承知しているんですよ。

 ただね、まさか、重病を患っているから配慮をお願いしたいと、入学前からお願いに上がっていたのに、狙い撃ちでこのような目にあわされるとは、さすがに……。

 いや、どのようにしたら、そういう人間を排除できるのか、もし良策を思いついたら、ぜひ教えて下さい。私も採用の際に試したいですから」



 お義父さんの繰り出す言葉に、先生たちは冷や汗をかきつつ、ひたすら謝り続けていた。

 俺が渡した音声データを確認して、明日また来ると言って、その日は帰って行った。

 そして翌日、改めてやってきた先生方から聞かされたのは、山野先生の懲戒免職処分だった。


< 8 / 14 >

この作品をシェア

pagetop