コイッペキ
「皆さん。今日は、誰がどの委員会に所属するか決めたいと思います」
その日。ヒナのクラスでは、HRで委員会について決めることになった。
教壇に立つのはヒナのクラスの担任である藤堂先生だ。
クラスの皆は、こっそりと彼のことを「トド先生」と呼んでいる。
30代前半だろうか。
大きなお腹を突き出して、まだ春だというのに汗びっしょりになりながら。
見た目とは裏腹に綺麗な声で話す。
「今日は日直は…箕輪か?」
「はい?」
いきなり、トド先生に名前を呼ばれて。
身体をビクつかせるヒナ。
「箕輪、ちょっと手伝ってくれないか?」
「はい…」
先生に近づくと、「これ、黒板に書いてくれるかな?」と言って。
A4の藁半紙を渡された。
ヒナは言われた通り、藁半紙に書いてある文言を書いていく。
学級委員二名、
風紀委員二名、
図書委員二名・・・
「んーあとは・・・」
ヒナが黒板に書いている間。
トド先生は教室をぐるっと見渡した。
「ナカヨシ、大丈夫かぁ?」
先生は、30人の生徒の中で唯一。
机に突っ伏している男子生徒の側に近寄った。
ヒナが手を止めて。
先生のほうを見て。
思わず、「げっ」と言いそうになった。
HR中にも関わらず、机の上で寝ている男の髪色は、オレンジ色だった。
入学式のときは、このクラスにオレンジ頭はいなかったはず。
入学式の翌々日か?
この男子生徒が、オレンジ色の髪で現れたのは。
「…うー、先生。もう終わったんすか?」
眠そうな目で起き上がる男子生徒。
「まだ、始まったばかりだよ!」
先生が突っ込むと。
周りにいた生徒達が一斉にゲラゲラと笑い出した。
「じゃあ、中吉。今回、君が司会をしてもらおうか」
「いいっすよ」
と言って。
オレンジ色の髪をした男子生徒がヒナのほうに近づいてくる。
(うわー、関わりたくない)
チョークを置いて。
ヒナは、
「先生、書き終わりました」
と言って。席に戻ろうとする。
「あ、箕輪。まだだよ」
それを止める先生。
仕方なく、ヒナは再びチョークを持って。黒板の前に立つ。
「えーじゃあ、何を決めるんすか?」
頭をぽりぽり書きながら、ナカヨシがトド先生に言う。
「今から、黒板に書いた委員について決めていくんだ」
今まで話を聞いていなかったナカヨシを責めることなく、先生が説明する。
「そうなんすか。じゃー、まずは一個ずつ誰がどの委員になりたいか希望聴いていく感じでいいっすかね?」
ナカヨシが皆に聴くと。
皆は静かに頷いた。
ヒナはじっと、ナカヨシを見つめる。
私立だから、身だしなみは厳しいはずなのに。
どうして、この男はオレンジ色の髪なんだろう。
一見、怖そうだけれど。
顔はいけている方なのかも?
「まずは、学級委員やりたい人」
「ちなみに、委員会は男女1名ずつな」
トド先生の補足説明に。
ヒナは思わず、「げっ」と思ってしまう。
ヒナのいるクラスは男子が19人、女子が11人で若干女子生徒のほうが少ないのだ。
そうなると、おのずと自分がこの黒板に書かれた委員会のどれかに所属する確率が高くなる。
そうなったら…。
ヒナは手をグーにする。
(図書委員会だぁー)
「学級委員いないっすか? じゃあ、次。図書委員やりたい人」
ヒナはナカヨシの言葉を聴いて。
即座に手を挙げた。
その日。ヒナのクラスでは、HRで委員会について決めることになった。
教壇に立つのはヒナのクラスの担任である藤堂先生だ。
クラスの皆は、こっそりと彼のことを「トド先生」と呼んでいる。
30代前半だろうか。
大きなお腹を突き出して、まだ春だというのに汗びっしょりになりながら。
見た目とは裏腹に綺麗な声で話す。
「今日は日直は…箕輪か?」
「はい?」
いきなり、トド先生に名前を呼ばれて。
身体をビクつかせるヒナ。
「箕輪、ちょっと手伝ってくれないか?」
「はい…」
先生に近づくと、「これ、黒板に書いてくれるかな?」と言って。
A4の藁半紙を渡された。
ヒナは言われた通り、藁半紙に書いてある文言を書いていく。
学級委員二名、
風紀委員二名、
図書委員二名・・・
「んーあとは・・・」
ヒナが黒板に書いている間。
トド先生は教室をぐるっと見渡した。
「ナカヨシ、大丈夫かぁ?」
先生は、30人の生徒の中で唯一。
机に突っ伏している男子生徒の側に近寄った。
ヒナが手を止めて。
先生のほうを見て。
思わず、「げっ」と言いそうになった。
HR中にも関わらず、机の上で寝ている男の髪色は、オレンジ色だった。
入学式のときは、このクラスにオレンジ頭はいなかったはず。
入学式の翌々日か?
この男子生徒が、オレンジ色の髪で現れたのは。
「…うー、先生。もう終わったんすか?」
眠そうな目で起き上がる男子生徒。
「まだ、始まったばかりだよ!」
先生が突っ込むと。
周りにいた生徒達が一斉にゲラゲラと笑い出した。
「じゃあ、中吉。今回、君が司会をしてもらおうか」
「いいっすよ」
と言って。
オレンジ色の髪をした男子生徒がヒナのほうに近づいてくる。
(うわー、関わりたくない)
チョークを置いて。
ヒナは、
「先生、書き終わりました」
と言って。席に戻ろうとする。
「あ、箕輪。まだだよ」
それを止める先生。
仕方なく、ヒナは再びチョークを持って。黒板の前に立つ。
「えーじゃあ、何を決めるんすか?」
頭をぽりぽり書きながら、ナカヨシがトド先生に言う。
「今から、黒板に書いた委員について決めていくんだ」
今まで話を聞いていなかったナカヨシを責めることなく、先生が説明する。
「そうなんすか。じゃー、まずは一個ずつ誰がどの委員になりたいか希望聴いていく感じでいいっすかね?」
ナカヨシが皆に聴くと。
皆は静かに頷いた。
ヒナはじっと、ナカヨシを見つめる。
私立だから、身だしなみは厳しいはずなのに。
どうして、この男はオレンジ色の髪なんだろう。
一見、怖そうだけれど。
顔はいけている方なのかも?
「まずは、学級委員やりたい人」
「ちなみに、委員会は男女1名ずつな」
トド先生の補足説明に。
ヒナは思わず、「げっ」と思ってしまう。
ヒナのいるクラスは男子が19人、女子が11人で若干女子生徒のほうが少ないのだ。
そうなると、おのずと自分がこの黒板に書かれた委員会のどれかに所属する確率が高くなる。
そうなったら…。
ヒナは手をグーにする。
(図書委員会だぁー)
「学級委員いないっすか? じゃあ、次。図書委員やりたい人」
ヒナはナカヨシの言葉を聴いて。
即座に手を挙げた。