コイッペキ
幼いころから、恵麻と紫恩は目立っていた。
日本人離れした顔立ちなのは。
2人の祖母にあたる人がイギリス人だからだということを知った。
恵麻はとにかく可愛くて人形みたいで。
紫恩はカッコよくて女の子のような可愛い顔立ちをしていた。
そんな2人の後ろにポツンと立って、くっついているように見えたのが陽菜だった。
華やかな2人。
2人と一緒にいると、陽菜は地味でしかなかった。
出会った頃は、恵麻と紫恩、陽菜と蛍の4人で遊んでいたのに。
蛍はいつのまにか離れていった。
3つ年上っていうのがあったのかもしれない。
恵麻と紫恩は蛍のことが大好きだった。
昔は「蛍兄ちゃん」と呼んで慕っていた。

「じゃあ、また後でね」
恵麻が手を振る。
紫恩はじっと陽菜を見たかと思えば。
黙って去っていく。
陽菜と恵麻、紫恩は同じ高校。
ちなみに蛍は大学1年生だ。

ここら辺に住む子供たちが目指すのは。
必ずこの学校と言っていいのかもしれない。
と、いうようりも。
都会と違って。学校が極端に少ないのが現実だ。
選択肢が少ないのだ。
陽菜は、昔から勉強ばかりしてきた。
幼稚園受験に合格して陽菜が入学したのは。
私立〇△学院。
幼稚園から大学までのエスカレーター式の学校だ。
一度、受かってしまえば。
よほどのことがない限り、大学まで流れて進級できる。
そんな夢のような学校。

同じマンションに住む子供たちは皆、この学校を受験して。
この学校に通っている。
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